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推定摩耗量の考え方

摩耗の経時的進行状態についての考察と推定摩耗量の考え方について掲載しています。

軸受の寿命について

軸受の設計を行うにあたって、その寿命を推定することが必要になる場合があります。一概に軸受の寿命といっても、種々の摩耗形態や使用条件にわたって、摩耗の面から寿命を正確に推定することは非常に困難です。
通常推定摩耗量の計算には実際に実験上から得られた比摩耗量を用いております。この比摩耗量の数値を利用すると、寿命の計算は簡単に行うことができますが、数値の取り方に注意を要します。
すなわち、同一PV値でも、速度の違いや運転頻度(連続、断続による発熱量の違い)、潤滑の種類や量またはクリアランスの大きさ(冷却効果)、軸の材質(硬さ)や表面粗さまたは、異物の混入度合、その他、数多くの要因で比摩耗量は大きく変動し、また運転時間の経過によっても変化することが多いです。従って比摩耗量は限られた条件における定数として用いられ、一般には比較の目安として考える必要があります。

軸受寿命の算出について

すべり軸受の寿命の推定を行うことは、理論的に確立されていないので、実際の設計に当たっては、使用条件を可能な限り明確にし、実用例、類似実用例による類推や、類似実験、模型試験または実物による実験などの結果より判断を行う経験的、実験的手法が重要視されることになり、運転中の保守点検の結果を整理して、次の設計にフィードバックするという経験工学としての積み重ねが、非常に有効な手段であります。
摩耗に関する実験的な方法としては、前述した比摩耗量の数値を用いて、摩擦時間当りの推定摩耗量を求めることができ、限界摩耗量 (各装置の許される値、軸受性能上の許容値) に達する摩擦時間をもとめることができます。

実験上から得られる摩耗計算式は次の様になります。
W=K・P・V・T

W
推定摩耗寸法 (mm)
K
比摩耗量 mm/(N/mm2・m/s・hr) {mm/(kgf/cm2・m/min・hr)}
P
軸受負荷面圧 N/mm2 {kgf/cm2}
V
軸受摺動速度 m/s {m/min}
T
摩擦時間 (hr)

摩耗の経時的進行状態について

摩耗の経時的な進行状態についても一概に論じられませんが、代表的なものとしては図-1に示すようなものが挙げられます。
摩耗の機構面から、A、BおよびCのタイプについて種々論じられておりますが、Aのタイプは無潤滑で初期なじみが正常に行われていない場合、または軸受材質等の選定が不適切な場合に代表されるもので、摩耗は大きい値で進行し、摩耗粉の脱落が激しい状態を示しており実用の軸受としては不適切であるということがいえます。
BおよびCのタイプは、実用の軸受に広く認められるもので、b1またはc1の初期摩耗の部分とb2またはc2の定常摩耗と呼ばれる部分をもち、材質や摩擦条件などで線の勾配や屈折点の位置は変化します。b1またはc1の初期摩耗の多くは、いわゆるなじみの期間に発生するのであり、この間で表面粗さや片当りがなじみ、または微細摩耗粉の付着などによって摩擦の状態が変化してb2またはc2へ移行します。
b2またはc2の状態では摩耗は少なく、ときにはほとんど零となり、雰囲気や摩擦面の状態が変化しない限り長時間の摩擦に耐えて維持することができます。しかし、連続摩擦による軸受温度の上昇、潤滑油の粘度変化や消耗、異物浸入や摩耗粉の挙動、材料の疲労などから、多くの場合摩耗の大きいc3の状態に移行します。その勾配が急であるほど、実用の軸受では使用中に突発的に生じる異常摩耗または焼付きということで、大きな問題となる現象であります。
軸受の寿命を推定する場合においては、b2またはc2の定常摩耗の値をもって論じ、c3のような状態が発生しないように保守点検によって対処しなければなりません。
定常摩耗という点ではAタイプも摩耗率が大きいというだけでb2とc2と同視することができます。また摩擦時間を十分長くとったものでは、b1やc1は無視して原点とb2やc2の終点を結んで比摩耗量の値としております。 当社推定摩耗量の算出式の考え方もこの考えにもとづいた考え方であります。

図-1 摩耗の経時的進行状態

実際の設計仕様における摩耗推定について

実際の設計仕様における摩耗推定について
軸受の摩耗(寿命)は前述したように様々な要因によって変化し、単純に机上における計算において摩耗(寿命)予測を行うことは非常に難しいものです。
現在実際に適用している方法としては、実際に適用する装置の使用条件を出来る限り明確にし、その使用条件に最も近い当社試験データーの比摩耗量を用いて、摩耗計算式を用い計算する方法を用いております。

摩耗計算式

W=K・P・V・T

W
推定摩耗寸法 (mm)
K
比摩耗量 mm/(N/mm2・m/s・hr) {mm/(kgf/cm2・m/min・hr)}
P
軸受負荷面圧 N/mm2 {kgf/cm2}
V
軸受摺動速度 m/s {m/min}
T
摩擦時間 (hr)

潤滑条件による比摩耗量の目安

潤滑条件 mm/(N/mm2・m/s・hr) mm/(kgf/cm2・m/min・hr)
無潤滑 6×10-4~3×10-3 1~5×10-6
定期潤滑 6×10-5~3×10-4 1~5×10-7
油潤滑 6×10-6~3×10-5 1~5×10-8

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