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すべては小さな木質軸受からはじまった
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推定摩耗量の考え方

  

摩耗量の推定について

  

軸受の摩耗量を理論的な数値解によって求める方法は現在でも確立されておらず,実際の設計にあたっては使用条件を可能な限り明確にし,その使用条件に類似した実機使用例やベンチ試験,摺動試験などから得られる結果によって判断を行うといった経験的,あるいは実験的手法が重要視されています。

推定摩耗量の算出式

一般的に摩耗体積Volは(1)式に示すように荷重Fと摺動距離Lに比例します。
   

Vol=k∙F∙L・・・(1)

Vol 摩耗体積[mm3]
k ベンチ試験,摺動試験などによって得られる比摩耗体積[mm3/(N・m)]
F 荷重[N]
L 摺動距離[m]

すべり軸受の設計においては、摩耗量(深さ)を検討するのが一般的です。また、面圧P値[N/mm2]、摺動速度V値[m/s]、PV値[N/mm2・m/s]が摩擦特性を決める重要なパラメータであり、設計値として算出することが多いため、(1)式をP値[N/mm2]、V値[m/s]及び摩擦時間T1[hr]について変換した(2)式を弊社では推定摩耗量算出式として使用します。比摩耗量Kの単位はmm/(N/mm²・m/s・hr)となります。潤滑条件による比摩耗量Kの目安を下表に示します。

W1=K∙P∙V∙T1・・・(2)

W1 推定摩耗量[mm]
K 比摩耗量[mm/(N/mm2・m/s・hr)]
P 面圧[N/mm2]
V 摺動速度[m/s]
T1 摩擦時間[hr]

表 潤滑条件によるオイレスベアリングの比摩耗量Kの目安

潤滑条件 比摩耗量K[mm/(N/mm2・m/s・hr)]
無潤滑
    6×10-4~3×10-3
定期潤滑
    6×10-5~3×10-4
油潤滑
    6×10-6~3×10-5

比摩耗量Kについて

摩耗量は面圧、速度及び摩擦時間のほかに、運動形態、相手材の硬さ、表面粗さ、クリアランス、摩擦熱、雰囲気温度、雰囲気環境、潤滑条件、異物の侵入など様々な因子の影響を受けます。これら因子を可能な限り実機条件と合わせたベンチ試験や摺動試験を実施することにより、精度の高い比摩耗量Kを得ることができます。

弊社では、長年にわたり、あらゆる条件の摺動試験データを蓄積しているため、お客様の装置設計情報に基づき、適切な比摩耗量Kをご提供することができます。また、お客様よりご要望がある場合は、新たに摺動試験を実施して比摩耗量Kをご提供することもできます。

推定寿命の算出式

推定寿命を求めたい場合は(3)式を使います.許容摩耗量W2は,軸受の摩耗によるシャフトの芯ズレやシャフト等の相手部材と周辺部品との干渉などを考慮し、装置の機能を維持できる限界値から定められます。なお、摺動層とバッキング層からなる二層構造の軸受を使用する場合は摺動層の厚さが許容摩耗量W2となります。

T2=W2/(K∙P∙V)・・・(3)

T2 推定寿命[hr]
W2 許容摩耗量[mm]
K 比摩耗量[mm/(N/mm2・m/s・hr)]
P 面圧[N/mm2]
V 摺動速度[m/s]

実際の摩耗推移と推定摩耗推移

すべり軸受の実際の摩耗推移は下図に示すように摩耗の進行が早い初期摩耗領域から進行が緩やかになる定常摩耗領域に移行します.ベンチ試験や摺動試験における摩擦時間は実機と比較して短いことが多く,その場合,推定摩耗量は実際の摩耗量よりも大きく計算されます.また,同様の理由から許容摩耗量に達するまでの推定寿命は実機における寿命と比較して短く計算されますので,この点にご留意ください.

摺動試験における定常摩耗領域にて,摩耗量を2点測定し,2点間の摩耗増加量と摩擦時間から算出される比摩耗量を用いることにより精度の高い推定が可能になります。