ここでいう電食とは、ガルバニック腐食(異種金属接触腐食)について説明する。
各産業界において、一般に単一金属から構成される機械や構造物は少なく、何らかの形で異種金属の組み合せで構成されることが多い。
各金属材料の組み合せにおいて、そこに電解質溶液(水や海水等)が介在すると、電池作用が生じ、各物質固有の電位が卑なる方が選択的に腐食する。
ある電解質溶液中では、材料固有の電位を示すが、組み合せで使用する場合には、極力 相互電位差の小さい組み合せとする必要がある。 一般には、100mV以下の組み合せが目安とされる。
なお、材料の固有電位は、水や海水等の電解質溶液の種類やPH値、汚染度や流速等によって数値が異なることから、正確な腐食データを把握するには、ポテンショメータによって固有電位を測定することが必要である。
ガルバニック腐食と関連するオイレスベアリングとしては、オイレス#500タイプ(固体潤滑剤埋込型軸受)が挙げられる。
ここで、オイレス#500におけるガルバニック腐食例を図2に示す。
オイレス#500SP-SL1に埋め込まれる固体潤滑剤は黒鉛系であり、相手軸の炭素鋼とは0.9V程度の電位差が生じる。
図2に示すガルバニック腐食の例は、グリース封入式にて設計されていたが、シールの破損によって雨水が侵入して不具合を生じた例を示す。
腐食の状況としては、固有電位の貴なる黒鉛が、固有電位の卑なる炭素鋼を選択的に腐食させている。
相手軸の腐食による損傷は大きいが、軸受の腐食による損傷は小さい。
Pin;S45C焼き入れ
Bush;オイレス#500SP-SL1
図2 ガルバニック腐食例
ガルバニック腐食は、完全に水没した状態に比較すると、乾湿を繰り返す状態に顕著にあらわれる。
大気中においても、屋外使用による雨水の侵入や、高湿度中にもガルバニック腐食は生じる。
但し、油やグリース等の油脂類で接触面が保護されていれば、ガルバニック腐食は生じない。
ガルバニック腐食を防止するには、接触面を油やグリースの油脂類で保護するか、材料の固有電位差を小さくすることが必要である。
腐食環境条件下において、黒鉛系の固体潤滑剤を埋め込んだ オイレス#500SP-SL1系や、オイレス#500SP-SL2系を使用する場合には、ガルバニック腐食の対策の一つとして、定期的に潤滑することがあげられる。
なお、四フッ化エチレン樹脂は、固有電位を持っていないため、四フッ化エチレン樹脂系の固体潤滑剤を埋め込んだ オイレス#500SP-SL4系は、ガルバニック腐食は生じにくい。