本サイトは、快適にご利用いただくためにクッキー(Cookie)を使用しております。
ご利用にあたって」をご覧いただき、ご同意いただきます様お願いいたします。

お問い合わせ
国を選んでください
すべては小さな木質軸受からはじまった
困った時は
PRODUCTS

ベアリング(軸受)とは?種類や役割、仕組みと構造、歴史、選定方法

ベアリング(軸受)は、現代の機械工学において欠かせない部品であり、あらゆる機械の動きを支える重要な役割を果たしています。しかし、詳しい機能や種類、選び方についてはよく知らないという方も少なくないはずです。
そこで本記事では、ベアリングの基本的な役割からその種類、選び方、そしてその歴史に至るまで、包括的に解説します。

すべり軸受の活用方法のご相談や導入の検討など、すべり軸受に関するご相談はオイレス工業株式会社へお問い合わせください。
様々な部品、用途で世界シェアNo.1を誇るオイルレスベアリングのトップメーカーである弊社が、高い技術と豊富なノウハウを活かしご提案いたします。

オイレス工業株式会社

1.ベアリング(軸受)とは

ベアリングは日本語で軸受(じくうけ)とも呼ばれ、機械を構成する要素の一つです。
ここではベアリングの機能や歴史について紹介します。

ベアリング(軸受)の機能と役割

ベアリング(軸受)は、回転・往復などの運動をする機械部品の摩擦抵抗を減らし、スムーズな動作を支えるための部品です。機械の軸を支持して、摩擦抵抗を軽減することでエネルギー効率を高めます。また、機械の軸を正確な位置に保ち、大きな力がかかる部分を保護する役割も果たします。
航空機や自動車といった乗り物のエンジンや車輪、産業機械や家電の歯車やモーターなどあらゆる機械に組み込まれ、使用されています。

ベアリング(軸受)の歴史

ピラミッドや宮殿建設の際、古代エジプトでは重い石材を運ぶ作業の壁画が残されています。潤滑剤を流してその上を滑らせることで摩擦抵抗を減らし、物をスムーズに動かす。これはベアリング(軸受)の機能に通ずるものがあります。

出典: 工業調査会「トライボロジーの歴史」

ルネサンス期に入ると、天才と知られるレオナルド・ダ・ヴィンチが、ベアリングの基礎となる手稿を残しました。彼のスケッチには、摩擦抵抗を減らすため、玉(転動体)を使用した回転装置が描かれており、これは現代のベアリングの基本的な原理に通じています。

16世紀以降になって、西欧諸国で金属製の玉やころを使用したベアリングが誕生し、砲車、水車などに利用されました。

ベアリングが本格的に商業利用されたのは18世紀後半のイギリスで起きた産業革命以降、馬車用で開発されたものと言われています。

19世紀半ばには、リグナムバイタと呼ばれる木材を使用したすべり軸受が、船舶用スクリューのベアリングとして使用されました。

日本で初めてベアリングが製造されたのは20世紀初頭です。これにより、ベアリング製造技術が日本国内へ広まりました。

そして1932年。オイレス工業の創業者である川崎宗造が、木のベアリングに油を含油させる製造方法の特許を取得。その後、この木質含油軸受を国内で初めてオイルレスベアリングとして販売。オイレス工業のベアリングの歴史もここから始まりました。

2.ベアリング(軸受)の種類

一般的にベアリング(軸受)は「すべり軸受」と「転がり軸受」の2つに大別され、それぞれがさらに細分化されています。ここでは各ベアリング(軸受)の特徴について詳しく紹介します。

すべり軸受

すべり軸受は、軸と軸受の間に潤滑被膜を介在させる、あるいは摩擦抵抗の低い素材で軸受面を形成することで、摩擦抵抗を減少させるベアリング(軸受)です。一般的に、以下の3種類に分類されます。

①油供給型

油供給型のすべり軸受は、潤滑油を供給することで摩擦抵抗を減らします。潤滑油が存在することによって滑らかな動きが保たれます。

②自己潤滑型

自己潤滑型のすべり軸受には、含油軸受と固体潤滑軸受があります(両方に該当する自己潤滑型のすべり軸受も存在します)。含油軸受は内部に油を含み、使用中に徐々に油を放出して潤滑被膜を形成します。固体潤滑軸受は軸受に組み込まれた固体潤滑剤により潤滑被膜を形成する、あるいは軸受の材質そのものが、摩擦抵抗が低く摩耗しにくいものとなっています。自己潤滑型は給油をしなくても最小限のメンテナンスで使用できます。オイレス工業の取り扱う製品の大半は、自己潤滑型に該当します。
オイレスベアリングについて

③特殊タイプ

特殊タイプのすべり軸受には、空気軸受と磁気軸受があります。空気あるいは磁気で軸を浮上させ、摩擦をほとんどゼロに近い状態で動作させるベアリングです。光学部品製造用の工作機械や、半導体製造装置などの特に高精度が要求される機械装置に用いられます。
オイレス工業の製品では、オイレスエアベアリングが特殊タイプの空気軸受に該当しており、優れた回転安定性と高い剛性で半導体分野を中心に採用いただいております。​
エアベアリング(静圧空気軸受)について

すべり軸受の詳しい種類やメリット・デメリットは別記事にて解説していますので、こちらも参考にしてみてください。
すべり軸受とは?種類やメリット・デメリット、転がり軸受との違い

転がり軸受

転がり軸受は、軸と軸受の間に玉やころを使用して摩擦抵抗を減少させるベアリング(軸受)です。以下の代表的な種類とその特徴について説明します。

種類 ボールベアリング ローラーベアリング ニードルベアリング
転動体 ころ(ローラー) 細長いころ(ニードル)
特徴 一般的で幅広く流通している。 ボールベアリングより高荷重に適している 高荷重、省スペース化に適している
主な用途例
  • 自動車のホイール
  • 家電製品
  • 鉄道車両
  • 農業機械
  • 大型モーター
  • 自動車のトランスミッション
  • 航空機のエンジン

3.ベアリング(軸受)の構造と仕組み

ベアリングの構造について、「すべり軸受」と「転がり軸受」それぞれ種類別に解説します。

すべり軸受の構造と仕組み

一般的にすべり軸受は、荷重の掛かった軸(シャフト)を面全体で受けるため、転がり軸受に比べ、耐荷重性、耐衝撃性や耐異物性に優れています。また、軸と軸受の間に潤滑被膜(油や空気など)ができることで、摩擦抵抗を低減させます。このように潤滑被膜の働きにより摩擦抵抗を抑えつつ、軸を回転させることができるのがすべり軸受の特徴です。

以下の動画では、すべり軸受の一種である「オイレスベアリング」を例に、すべり軸受の構造について紹介しています。
https://www.oiles.co.jp/files/bearing_about01.mp4

転がり軸受の構造と仕組み

転がり軸受は、内輪と外輪の間に転動体(玉、ころ)を配置した部品です。内輪は軸に取り付けられ、外輪は固定されたハウジングに取り付けられます。転動体を利用して軸と軸受の間の摩擦抵抗を減少させます。

転がり軸受を構成する各部品の役割は以下の通りです。

部品の名称 部品の役割
外輪 ベアリングの外側のリングで、外部の構造に固定されます。
転動体 転がり要素として軸を支持する部品です。
保持器 転動体が適切な位置に保たれるように支える部品です。
内輪 ベアリングの内側のリングで、回転軸に取り付けられます。

4.ベアリング(軸受)の活用例

ベアリングは、摩擦抵抗を減らし回転や動きを滑らかにするため、様々な機械や装置で広く使用されています。本項では、すべり軸受と転がり軸受の具体的な活用場面について説明します。

すべり軸受の活用場面|水力発電、ロボット、車など

すべり軸受は、特に耐荷重、耐衝撃、耐異物が求められる場面で多く使用されます。例えば、すべり軸受の一種である「オイレスベアリング」は、以下のように自動車、水力発電や上下水道、食品機械、ロボット、半導体業界など多岐に渡り活用されています。

【すべり軸受の活用例】

自動車
水力発電
上下水道
食品機械
ロボット
半導体製造装置

オイレスベアリングの導入事例では、どのようなところでどのような製品が活躍しているか詳細が確認できます。また、以下の動画でも身近な例を紹介しているのでおすすめです。
https://www.oiles.co.jp/files/bearing_about02.mp4

転がり軸受の活用場面|車、鉄道、航空機など

転がり軸受は高い汎用性により、自動車、二輪車、鉄道、航空機、風力発電など、様々な分野で広く活用されています。
例えば、二輪車はエンジンやトランスミッションを中心に20-30個、自動車では100-150個もベアリングが使用されています。

5.ベアリング(軸受)の選定方法

ベアリングの選定は、用途や使用環境に応じて適切な種類を選ぶ必要があります。ここでは、すべり軸受と転がり軸受それぞれの選定方法について見ていきましょう。

すべり軸受の選定方法

まずはすべり軸受の選定方法を6つのステップに分けて紹介します。

①概略レイアウトの決定

機械や装置の全体的なレイアウトを決める際、すべり軸受の内径・外径・長さ、相手軸材質、潤滑方法などの目安を決めます。

②環境条件・設計仕様の確認

次に、すべり軸受が使用される環境条件や設計仕様を確認します。
環境によってすべり軸受の選定材質も変わります。例えば、温度条件によっては応力緩和が発生するため、適切な材料選定、ハメアイ設計が必要になります。
応力緩和についてはこちら

③使用条件の検討

使用条件を検討し、必要な耐久性や性能を確認します。

  • 許容P・V・PV値と運動形態・状況、使用頻度、給油の有無などを確認します。
    P値:軸受に負荷される最大荷重(W)を軸受の投影面積(φd×L)で割った値が面圧:Pとなります。
    V値:速度:Vとは相手と軸受との相対速度となります。
    P V値:軸受の選定には面圧:Pと速度:Vとの積であるPV 値が重要なポイントとなります。
    P値、V値の計算プログラムはこちら
  • 環境条件(特に特殊環境は注意)、温度条件、異物の侵入、耐食性、耐薬品性などを検討します。
  • 動的荷重、静的荷重、衝撃荷重、静的応力、破壊強さなどを検討します。

④形状設計・詳細設計・標準品の検討

形状設計と詳細設計を行い、標準品が使用できるかを検討します。

  • ハウジングの材質・強度・剛性・精度。相手軸の材質・粗さ・硬度・表面処理・精度、異物対策などの検証を行います。
  • ベアリングの精度、シメシロ、クリアランス、油溝・給油孔の検証を行います。
  • ベアリング素材の製造上の制約、標準品で対応できるかを検討します。

⑤第一次材質選定

各設計因子がそれぞれの許容値内にあるかどうか検討し、第一次材質を選定します。

⑥試験データ・特性確認

最後に、選定したベアリングの試験データや特性を確認します。必要に応じて試験を実施し、性能を確認します。新規開発の産業機械であれば、試験データを基にして必要な性能を有したベアリングを選定することが重要です。

すべり軸受は、以上6つのステップのように選定すると良いでしょう。また、オイレス工業の提供する設計支援ツールを利用すれば、更に精緻で最適な選定が可能です。すべり軸受を選ぶ際にはぜひご活用ください。

転がり軸受の選定方法

次に、転がり軸受の選び方について解説します。

①使用条件の明確化

最初に、ベアリング(軸受)が使用される条件を明確にする必要があります。

例えば以下のような条件を詳細に把握します。

  • どのような荷重がかかるのか
  • 回転速度はどれくらいか
  • 使用環境はどのような条件か

②ベアリングの種類と配列の選定

次に、使用条件に基づいて、適切なベアリングの種類と配列を選定します。

例えば、ラジアル荷重のみの場合はラジアル玉軸受のなかで最もよく使用されるタイプである深溝玉軸受が適しています。また、スラスト荷重が加わるケースではラジアル荷重と一方向のスラスト荷重を同時に支えられるアンギュラ玉軸受スラストベアリングの組み合わせが必要になります。

このように、必要に応じて複数のベアリングを組み合わせることで、最適な負荷分散と耐久性を実現します。

③ベアリングの寸法を決定

ベアリングの寸法は、内径(軸径)を基準に決定します。許容荷重と許容回転数を考慮し、機械のスペース制約に合わせた選定が必要です。寸法選定は、機械の設計効率と性能の最適化に直結します。

④ベアリングの精度を決定

必要な精度を決定します。高精度のベアリングは、摩擦抵抗と振動を最小限に抑え、機械の寿命と効率を向上させます。特に高速回転の機械や精密機械には、JISやISOで規定された高い精度等級のベアリングを選定する必要があります。

⑤材質や潤滑方法の決定

最後に、使用環境に応じた材質と潤滑方法を決定します。高温環境では耐熱性の高い材質を、粉塵環境や水中ではシールド付きベアリングやステンレス材を選定するのがおすすめです。また、適切な潤滑剤の選択により、ベアリングの寿命を延ばし、性能の維持を期待できます。

6.まとめ

ベアリング(軸受)は回転などの運動をする機械部品の摩擦抵抗を減らし、スムーズな動作を支えるための機械部品です。「すべり軸受」と「転がり軸受」の2種類があり、それぞれの特性と用途に応じた選定が必要になります。
すべり軸受は、耐荷重、耐衝撃、過酷環境下に適しています。一方、転がり軸受は、高速回転で高精度な環境に適しています。
どのような条件下で使用するのかあらかじめ明確にした上で、適したベアリングを選びましょう。

オイレス工業株式会社は、様々な部品、用途で世界シェアNo.1を誇る、オイルレスベアリングのトップメーカーです。
すべり軸受の活用方法の相談や導入の検討など、すべり軸受に関するご相談はオイレス工業株式会社へお問い合わせください。ベアリングに関する高い技術と豊富なノウハウを持った弊社がさまざまなご提案をいたします。

オイレス工業株式会社