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すべては小さな木質軸受からはじまった
SUSTAINABILITY

TCFD提言に基づいた情報開示

当社はTCFDに賛同しています。

PDFでもご覧になれます(2024年9月27日時点)
TCFD提言に基づいた情報開示

ガバナンス

当社では、気候変動問題を含むサステナビリティ課題について議論するための機関として、「サステナビリティ推進会議」を設置しています。サステナビリティ推進会議は、代表取締役社長を議長として、全取締役(独立社外取締役も出席)・執行役員が出席して年に2回開催しています。気候変動対応などの重要なサステナビリティ課題について、サステナビリティ推進会議で協議しています。
また、サステナビリティ推進会議の傘下には、サステナビリティ担当役員を委員長とする「サステナビリティ委員会」が設置されており、サステナビリティ委員会からは、気候変動対応などのサステナビリティ課題の取り組み状況がサステナビリティ推進会議に報告されます。
こうした複層的な機関運営によって気候変動対応をおこなっており、取締役会は気候変動問題関連のリスクと機会についても監督をおこなっています。

気候変動問題に対するガバナンス体制

サステナビリティ推進会議について

  • 構成
    議長:代表取締役社長
    出席者:全取締役(独立社外取締役も出席)・執行役員
    事務局:総務部 サステナビリティ推進室
  • 開催頻度
    年2回(9月・3月)
  • 主な議題
    中長期的な企業価値向上に資するサステナビリティ課題について協議
  • その他
    2018年度から運営

戦略

シナリオ

気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言を踏まえ、気候変動がもたらすリスク(移行リスク、物理的リスク)」と「機会」を特定しています。移行リスクについては2℃のシナリオ、物理的リスクについては4℃のシナリオを用いて分析しています。
また、時間軸については、中期の時間軸はSDGs(持続可能な開発目標)の最終年度である2030年、長期の時間軸は2050年としています。

当企業グループを取り巻く環境(リスクと機会)
2℃シナリオ カーボンニュートラル(CN:低炭素経済)に向けた取り組みに関して、顧客や投資家等のステークホルダーからの要請が強まることに加え、炭素税の導入などの法規制の強化も想定される。CN化の進展する自動車業界にとどまらず、あらゆる産業において技術革新対応が急務となる。
⇒「移行リスク」とそれに対応する「機会」が発生
4℃シナリオ 上記のような取り組みがおこなわれないシナリオであり移行リスクは限定的となるが、気温上昇に起因する異常気象による大災害(突発的な風水害や気候変動パターンに沿って長期的に発生する風水害)が発生する。さらに、海面上昇による土地浸食に加え、安定的な水源や従業員の健康にも影響を及ぼす。
⇒「物理的リスク」とそれに対応する「機会」が発生

リスク

主な移行リスク

影響度/時間軸 対応策
気候変動対応の遅れに伴う顧客サプライチェーンからの排除 大きい/中長期
  • CO₂排出量削減目標の実現に向けた取り組みの推進
環境対応製品の開発遅延に伴う収益機会の喪失 大きい/中長期
  • 低炭素社会の実現に貢献する製品・技術の開発の継続
製品に要求される原材料の革新的な変革による市場喪失 大きい/中長期
  • バイオマス軸受の拡販
  • 新たな素材開発
  • カーボンフリー原材料の調達
炭素税の導入 中程度/長期
  • CO₂排出量の削減

主な物理的リスク

影響度/時間軸 対応策
記録的な風水害による河川氾濫に伴う工場設備への影響 中程度/長期
※発生可能性は低い
  • BCP対応(工場設備の水害対応強化)
平均気温上昇に伴う従業員の健康への影響や生産性の悪化 中程度/長期
  • 社員の健康管理の強化と効率的な労働環境の整備

機会

主な機会

影響度/時間軸 対応策
【軸受機器事業・建築機器事業】
CO₂排出削減に貢献する製品・技術の開発による新たな需要の創出・拡大
大きい/中長期 【軸受機器事業】
  • EV・再生可能エネルギー分野などでの技術開発
【建築機器事業】
  • 省エネに資する製品・新技術開発
【構造機器事業】
防災・減災・復旧工事に向けた橋梁などのインフラ部門のレジリエンス強化の動き
大きい/中長期 【構造機器事業】
  • 橋梁分野などのインフラリニューアル分野の強化

リスク管理

当社では、気候変動問題に関するリスクについては、サステナビリティ委員会からの報告に基づき、代表取締役社長を議長として全取締役・執行役員が出席するサステナビリティ推進会議によって評価・特定されるとともに、総合的なマネジメントの方向性が決定されます。また、気候関連リスクに対応する事務局的な組織として、サステナビリティ推進会議・サステナビリティ委員会の傘下に「環境部会」(部会長:品質環境安全部長)を設置しており、リスクや機会を踏まえて、CO₂排出量削減を中心とする気候変動問題への対応を進めています。
さらに、気候関連リスクへの対応状況については、環境部会⇒サステナビリティ委員会⇒サステナビリティ推進会議というプロセスで定期的に経営陣に報告されています。加えて、気候変動が引き起こす物理的リスクである水害リスクについては、その発生可能性は低いものの、サステナビリティ推進会議・サステナビリティ委員会傘下の「BCP/BCM部会」においてフォローをおこなっています。
リスクが多様化している状況を踏まえ、2024年4月、サステナビリティ推進会議傘下の「リスク管理部会」を、取締役会の諮問機関として「リスク管理委員会」に再編しました。情報の集約と管理の強化をはかり、リスクの発生頻度や影響の低減をはかっています。

当社のサステナビリティ推進体制

指標と目標

2050年カーボンニュートラルの実現を目指し、当企業グループは2021年に見直しをおこなった環境目標を2023年に改めて見直しました。ステップを二段階に分け、第1ステップは、従来からの2030年度までにCO₂総排出量を2013年度比46%削減するというものですが、今回見直した環境目標では、第2ステップとして、最終的には2050年カーボンニュートラルを実現することを目標としています。この第2ステップでは、当企業グループ全体で2050年カーボンニュートラル実現を目指します。

環境目標

第1ステップ:2030年度までにCO₂総排出量を2013年度比46%削減

第2ステップ:グループ全体で「2050年カーボンニュートラル」を実現
※対象はScope1・Scope2

当企業グループのCO₂排出量(Scope1・Scope2)

参考:当企業グループのサプライチェーンCO₂排出量

カテゴリ 2022年度CO₂排出量
(t-CO₂)
2023年度CO₂排出量
(t-CO₂)
2023年度 構成比(%)
Scope1 自社から直接排出されているCO₂排出量 7,435 5,899 3
Scope2 自社から直接排出されているCO₂排出量 21,808 18,110 10
Scope1,2の合計 29,242 24,009 13
Scope3 1.購入した物品・サービス 124,696 131,379 72
2.資本財 8,631 7,233 4
3.Scope1,2に含まれない燃料等 5,349 5,041 3
4.輸送・配送(上流) 12,233 12,846 7
5.事業から出る排出物 1,144 1,117 1
6.出張 264 268 0
7.従業員の出勤 913 932 1
Scope3の合計 153,230 158,817 87
サプライチェーンCO₂排出量合計 182,473 182,826 100

※当企業グループのCO₂排出量(Scope1・Scope2・Scope3)の算定については、株式会社サステナビリティ会計事務所から独立第三者保証を受けております。

CO₂削減に向けた取り組みの状況

環境目標の達成に向けては、サステナビリティ推進会議の傘下部会である環境部会が中心となり、各生産拠点と連携してさまざまな取り組みを推進しています。

藤沢事業場 太陽光発電装置

当社の国内工場では概ねLED照明化が完了し、エネルギー効率の高い空調設備や生産設備への更新を計画的に進めています。2021年から藤沢事業場にて太陽光発電を開始し、現在、複数の海外拠点にてオンサイトPPA導入を計画しています。また、再生可能エネルギー電力の調達についても、2022年度から開始し、国内4工場に加え、国内関連会社に拡大し、グループベースでのCO₂排出量削減に取り組んでいます。

環境目標の達成には、従業員一人ひとりの意識強化が重要です。当社では、生産拠点におけるエネルギーロスや不良の削減に取り組むほか、研修などを通じた環境問題に対する従業員への啓発を継続的に取り組むとともに、2023年度から各部署の年次計画に「環境対応」の策定を必須項目とし、環境対応への意識強化をはかっています。藤沢事業場では可視化したデータをもとに環境管理委員会事務局から各職場におけるエネルギー使用量を月次ベースで還元し、対前年比や他職場比により、使用エネルギーの高い職場での自発的な原因解明や省エネ対策の実行を促しています。

こうした取り組みを進めた結果、2023年度の連結売上高が対前年度比で9.3%増となる中で、海外を含めグループ全体の2023年度のCO₂排出量は24,009 t-CO₂となり、前年度比では18.0%減となりました。また、CO₂排出原単位は0.349t-CO₂/百万円となり、前年度に引き続き基準年である2013年度を下回りました。特に、国内生産拠点における2023年度のCO₂排出量は14,871t-CO₂となり、前年度比では23.7%減となりました。第一ステップである2030年の計画達成に向けては、全社的な省エネのさらなる推進、エネルギー効率の高い設備への更新強化、再生可能エネルギー電力の調達比率向上などのさまざまな施策を国内外で推進していきます。

そして、第二ステップの2050年カーボンニュートラルという目標の実現には、全社的なエネルギー調達構造の見直しや、エネルギー効率の高い生産ラインの実現、生産方法の抜本的な見直しも必要であると考えています。この世界の課題解決に貢献する製品や技術を提供するため、当企業グループとしての2050年カーボンニュートラルを実現するため、イノベーションの創出に向けた「技術へのたゆまぬ探求」に努めます。